Audrey Heng
テクノロジーは次世代の金融商品やサービスを形づくり効率や顧客体験の向上を実現する絶好の機会を生みだしています。ここでは保険業界の変革を促す3つの重要なテクノロジー・トレンドをご紹介します。
この2年で加速したデジタル・トランスフォーメーションは金融サービス業を含むほぼすべての業種に大きな影響を及ぼしました。金融サービス業界ではテクノロジーの進歩と転換の波に迅速に適応しながら商品やサービスを一新し、変わり続けるお客さまの期待に応えることが求められてきました。
テクノロジーがファイナンシャル・アドバイザーやお客さまの体験を形づくる重要な側面を担うことはまぎれもない事実です。つまり業界が進化していくなかでテクノロジーを使いこなすことは成功に欠かせないことです。今年の金融サービス業界の変革を促す3つの重要なテクノロジー・トレンドを深く掘りさげてみましょう。
投資会社であるTemasek Holdingsが昨年行った調査によれば、主要業務や手続きにAIを導入しているのは金融サービス業のわずか13%程とAIの導入はonly around 13% of the financial services sector uses AI solutions across the bulk of its processes, まだ始まったばかりです。しかし2022年にはその導入と普及が進みファイナンシャル・アドバイザーの本質的な働き方がこれまでにないほど大きく変わると考えられています。
業務や手続きをより効率化かつ顧客志向のものへ変える力を持つAIは、一人ひとりのお客さまのニーズに応える質の高いサービスを実現する大きな可能性をも持っています。AIとデータ分析ツールを併用すればファイナンシャル・アドバイザーはお客さまのライフスタイルやニーズや習慣に合わせて高度にカスタマイズした商品やサービスを提供することができます。
保険の引受から顧客体験やマーケティングにいたるまでAIの導入による可能性が解き放たれるfrom underwriting, client experience, and marketing. のはこれからです。テクノロジーが成熟するにつれてAIは多様化しビジネスにおけるさまざまな側面で新たな適用法が確立され、その真価を発揮することになるでしょう。ただしAIは本質的にお客さまデータの活用を前提としたものです。保険料の設定や保険金の請求においてどのようにお客さまデータが活用されるのかについてはお客さまの同意を得るなど慎重な対応が必要になります。お客さまの信頼を維持するには透明性を確保することが鍵となるでしょう。
2022年に主流になると思われるもう一つのテクノロジーはクラウド・ベースのテクノロジーです。パンデミックで明らかになったように持続可能な事業を行うには俊敏な柔軟性のあるビジネス・モデルをもつことが重要です。お客さまのニーズに応え事業の目標を達成するという二つの目的を合致させるという意味でも今年はクラウドへの移行が進む年になるでしょう。デジタル・トランスフォーメーションを目指すすべての企業にとってもクラウドは将来にむけて事業を変革するために必要な俊敏性と柔軟性を与えてくれる基盤になります。/p>
すでにファイナンシャル・アドバイザーは主要な業務プロセスでクラウドへの移行を急速に進めています。Deloitteの2022 Insurance Industry outlook (訳注:2022年保険業界の展望に関する調査)では、回答者の72%がクラウド関連の支出を増やす予定であると回答しています。
クラウド技術が成熟するにつれて、ファイナンシャル・アドバイザーは新しい提案の企画や立ち上げを加速させてお客さまの進化しつづけるニーズに迅速に対応できるようになるでしょう。同時にお客さまとインシュアテックや医療提供者などお客さまを取り巻く関係者をつなぐハブとしての役割を担うことができるようになるでしょう。ただしクラウドを最大限に活用するには十分なスキルとプロセスを備えている必要があります。
オムニチャネル体験へのニーズが高まるなかファイナンシャル・アドバイザーにはテクノロジーを活用してお客さまに最適なオムニチャネル体験を提供することが求められています。
お客さまはデジタルや遠隔ツールを受け入れやすくなっています。Ernst & Youngの「2020 Asia-Pacific Insurance Outlook Report (訳注:2020年アジア太平洋保険業界の展望に関する報告書)73% of individuals already expected to be able to accomplish any financial task on a mobile device. 」では一般の人々の73%がモバイル機器であらゆる金融取引を実行できるようになると予想しています。金融テクノロジーの進歩にともない金融商品やサービスが24時間、安価で取引できるようになることがますます求められているのです。
2022年にはファイナンシャル・アドバイザーとしての競争力を保つためにお客さま中心のオムニチャネル戦略を立ててください。パンデミック後のデジタル時代にはデジタルな交流と物理的な交流をうまく組みあわせることによりお客さまの体験をより良いものへ導き、必要なときに円滑にお手伝いやアドバイスができるようにしておきましょう。
効果的なオムニチャネル戦略はデジタルな交流とリアルの交流のそれぞれの長所をうまく活用したものです。
シンガポール出身のMDRT 17年間会員であるLaura Hoi, ChFCはテクノロジーを活用することによって顧客体験を向上させることができたhow she has embraced technology to enhance the client experience she delivers. と語ります。ファイナンシャル・プランを作るためのソフトウエアを導入したことで対面でもバーチャルでもお客さまへの提案をより包括的で双方向のものにすることができたのです。またこうしたテクノロジーの最新情報についてはMDRTのラウンド・ザ・テーブル誌のテクノロジー・コーナーもご参照ください「最新のソフトウエアやアプリが紹介されているのでそれを使って業務の生産性や効率性を高めることができます」と彼女は言います。
金融サービス業界はいま岐路に立たされています。テクノロジーが業界全体の変革やお客さま中心主義への移行を加速させています。そのなかでファイナンシャル・アドバイザーは業界の新しい基準や顧客の期待に応えていく必要があります。