優れたチームはたまたまできるのではありません。育て上げる際に戦略が必要です。高性能のチームを作り上げる方法を元宇宙飛行士から学んでください。
By Dr. Rhea Seddon
私は6名の男性宇宙飛行士と共にディスカバリー号の2000トンの爆発性燃料への点火を待っていました。これからの7日間、私たちの命はお互いの行動に委ねられていることを自覚していました。フライトの途中で不測の事態が発生した場合、メンバーが協力しなければ帰還できない可能性もあります。
どのような準備をしていたと思いますか。宇宙飛行士としての訓練を受ける過程で、優れたチーム・プレーヤーであり、同時にリーダーとフォロワーの両方の役割を担うことができるという実績を求められました。私が学んだスキルはどんなチームでも何かをやり遂げる際に適用することができます。
誰もがチームのメンバーになった経験があるはずです。スポーツでのチームもあれば仕事やボランティアさらに家庭内でもチームワークが必要なことがあります。優れたチームはたまたまできるのではありません。チームプレーヤーの素質を持つ人を戦略的に特定し、グレートなチームに仕立て上げるためにゴールを定義し、モチベーションを高め、問題に対処し、成功と失敗の両方から学ぶ必要があります。具体的には以下のとおりです。
1.チームプレーヤーを選び育成する
これからチームメンバーを決めようという時、もしくは既存のチームにメンバーを追加するときの面接プロセスは非常に重要です。候補者は既にチームプレーヤーとしてのスキルがあるのか、それともトレーニングが必要でしょうか。過去に同様のチームでチームプレーヤーとして活躍できたでしょうか。候補者にこれまで経験したチームワークやチームで取り組んだプロジェクトで何がうまく行き、なぜ成功したと思うかを問いかけてください。そして、メンバーを追加する場合は、既存メンバーが新メンバーを歓迎できるかも重要なポイントです。
2.チームを作り上げる
最初から偉大なチームとして人が集まることはめったにありません。生まれながらのリーダーもいれば、優れた可能性を秘めたリーダーもいるし、フォロワーとして素晴らしい活躍をする人もいます。メンバーにはそれぞれ役割があります。誰にどのような能力があり、どの役割で活躍してもらうことが最も良い結果に至るかを見極めるのも皆さんの役割です。
3.チームのゴールを定義する
すべてのメンバーが明確に理解し、その目標を目指そうと思わなければ優れたチームとは言えません。マネジメントやリーダーとしての皆さんの役割は目標を明確にし、チームが理解し、一緒に頑張ろうという気持ちになってもらうことです。リーダーにはグループとしての進捗に加えて各人の状況もきちんとモニタリングする責任があります。仮にゴールが変更になった場合はチーム全員がその報告を受け、この先どうするかを理解していなければなりません。
4.チームにとっての励みは何か
チームメンバーは何にモチベーションを感じるかを把握しておくことは不可欠です。ある人にとっては新しいスキルを身につけることであり、別の人にとっては達成感であり、成功したという実感に励まされます。スキルの上達や人に認められることを励みにする人もいます。オフィスでは金銭的な見返り、昇給、賞などもモチベーションになります。そして、ほとんどの人は仲間に称えられることでうれしくなります。友好的な競争、切磋琢磨することをどう思いますか。一度メンバーに相談してみることをお勧めします。
5.想定外に対処する
万が一、会社で同じチームの誰かのパフォーマンスが明らかに劣っていてどう考えてもこのチームには合わない、職場全体の雰囲気にも影響するし、成功できるかどうかにも影響があると思える場合はどうしますか。データでパフォーマンスが水準より低いことを示しますか。チームメンバーからのネガティブなコメントを聞いたらどうしますか。その方ときちんと一対一で問題を話し合うことが必要です。リーダーが行動して問題を解決しない場合、モラルの低下という毒がチーム全体に蔓延してしまいます。
6.失敗や成功から学ぶ
何かがうまく行かない場合、その原因と解決策を速攻で見つけることが不可欠です。なお、チーム全員が間違えから学び、繰り返さないことも重要です。失敗から学ぶことも大事ですが、成功から学ぶことも忘れてはなりません。どのようなプロセスが過去に有効だったかを考えて取り込むことや、チーム内で優れた貢献をした人をきちんと称えることも忘れてはなりません。
すべてのチームに個性があります。皆さんもメンバーの経験とリーダーの経験があるはずです。桁違いの結果を残す偉大なチームは優れたチームワークを発揮できるシンプルな基本の上に成り立っています。すなわち、
これらの戦略を踏まえてとびっきりのチームを作り上げてください！
Dr. Rhea Seddonは宇宙飛行士であり、スペースシャトルでの30日間を描いた “Go For Orbit 周回軌道を目指せ” という著書があります。外科医であり、医療従事者、起業家でもあります。Dr. Seddonはチームワーク、リーダーシップ、チャンスを掴む勇気などに関する講演を行っています。詳しくは astronautrheaseddon.comへ。